観光客が戻れば、沖縄の宿も埋まる? 客室はコロナ前より約2割増 2026年9月15日

沖縄の海を背景に、旅行者がホテルや貸別荘の写真を見比べ、自分に合う宿泊先を選ぶ手描きの情景

運営・戦略|沖縄観光と宿泊施設の変化

観光客が戻れば、沖縄の宿も埋まる? 客室はコロナ前より約2割増

著者:株式会社トラベルコネクト / 資料確認:2026年9月14日

沖縄の海を背景に、旅行者がホテルや貸別荘の写真を見比べ、自分に合う宿泊先を選ぶ手描きの情景

2025年の沖縄の入域観光客数は1,075万6,000人。コロナ前の2019年を5.8%上回り、暦年の過去最高を更新しました。観光客数で見ると、回復はすでに2019年の水準を超えています。[出典1]

その一方で、県内の客室数は同じ期間に約2割増えています。施設様にとっては、お客様が戻る間に、比較される宿泊先も増えていたということです。観光客数のニュースだけでは、ここが見えにくくなります。

2019年から2025年に、観光客数は5.8%増、客室数は19.6%増。回復した需要の中で選ばれるには、自館に合うお客様へ、泊まる理由を具体的に伝える必要があります。

観光客数は5.8%増、客室数は19.6%増

要点2019年から2025年の増加率は、観光客数より客室数・収容人数のほうが大きくなっています。

沖縄県の「入域観光客統計」と「宿泊施設実態調査」を並べました。観光客数は1月から12月までの合計、施設数・客室数・収容人数は各年12月31日時点です。[出典1][出典2]

指標2019年2025年増減率
入域観光客数10,163,900人10,756,000人+5.8%
宿泊施設数3,084軒4,721軒+53.1%
客室数54,380室65,031室+19.6%
収容人数149,216人194,229人+30.2%

客室は5万4,380室から6万5,031室へ、1万651室増えました。2019年と同じくらいの観光客数になっても、販売する客室の数まで同じになったわけではありません。

2019年を100とした2019~2025年の推移。2025年は観光客数105.8、客室数119.6、収容人数130.2、宿泊施設数153.12025年は入域観光客数105.8、客室数119.6、収容人数130.2、宿泊施設数153.1。実数は本文表に掲載。 2026-09-14T17:59:46.923222 image/svg+xml Matplotlib v3.11.2, https://matplotlib.org/
2019年=100の指数。観光客数は暦年の合計、供給側の3指標は年末の数。単位の異なる数字を、増減の方向と大きさで比べています。出典1・2から計算。

コロナ禍を挟んだ経過も見ておきます。観光客数が約302万人まで落ち込んだ2021年末にも、客室数は5万9,448室ありました。需要が戻る前から、受け入れる側の規模は2019年を上回っていました。

観光客数
(人)
施設数
(軒)
客室数
(室)
収容人数
(人)
201910,163,9003,08454,380149,216
20203,736,6003,34257,759160,213
20213,016,8003,48059,448167,662
20225,697,8003,68163,215177,191
20238,235,4003,91463,497184,732
20249,668,8004,25164,371188,425
202510,756,0004,72165,031194,229

収容人数は宿泊施設の定員を合計した規模です。実際の宿泊者数ではありません。県の宿泊施設実態調査は、住宅宿泊事業法に基づく民泊などを対象から除いています。

2026年の最新値も添えると、1~7月の入域観光客数は616万9,600人(6月・7月は速報値を含む)で、2019年の同じ期間より4.1%多くなっています。ただし、2026年末の施設数はまだ公表されていないため、供給との主な比較は2025年でそろえています。[出典3]

増えた施設は、大きなホテルだけではない

要点宿泊施設数は53.1%増えていますが、施設の大きさや種類によって客室への影響は異なります。

宿泊施設の総数は3,084軒から4,721軒へ増えています。ただし、これをそのまま「ホテルが約1.5倍」と読むと実態を取り違えます。

県の区分で「ホテル・旅館」に当たる施設は700軒から962軒へ37.4%増、客室数は4万3,050室から5万3,009室へ23.1%増でした。一方、「ペンション・貸別荘」は1,275軒から2,871軒へ増えています。宿泊先の選択肢は、建物の大きなホテル以外にも広がっています。[出典2]

一棟の貸別荘と大規模ホテルは、同じ1軒でも客室数が違います。施設数は選択肢の広がり、客室数は販売する部屋の規模として読むと、数字の意味が分かれます。施設数の増加率だけで「競争が53%厳しくなった」とは言えません。

県の調査には、その年の開業・廃業だけでなく、新たに営業・廃業の実態が確認された施設も含まれます。資料の集め方も、2019年は市町村からの提供、2025年は保健所からの提供を市町村が確認する形です。前年差を、その年に開業した施設の数とは扱っていません。

一晩に受け入れる定員は、約14.9万人から約19.4万人へ

要点収容人数は2019年比30.2%増で、客室数の増加を上回り、一室あたりの定員も増えています。

県が集計した収容人数は、2019年の14万9,216人から2025年の19万4,229人へ増えました。差は4万5,013人。調査対象の施設が、一晩に受け入れられる定員の規模です。

客室数の増加は19.6%、収容人数の増加は30.2%です。県全体の定員を客室数で割ると、一室あたり約2.74人から約2.99人へ変わっています。定員の多い客室の増加や施設構成の変化が考えられますが、この合計だけでは内訳までは分かりません。[出典2]

年間の大きさをつかむために、年末の定員を365日分に換算すると、2019年は約5,446万人泊、2025年は約7,089万人泊になります。客室数を365日分に換算した規模は、約1,985万室泊から約2,374万室泊です。

定員×365
(理論値・人泊)
客室数×365
(理論値・室泊)
201954,463,84019,848,700
202058,477,74521,082,035
202161,196,63021,698,520
202264,674,71523,073,475
202367,427,18023,176,405
202468,775,12523,495,415
202570,893,58523,736,315

計算は「各年末の収容人数×365」と「各年末の客室数×365」。うるう年も含め、比較条件をそろえるため全年365日で計算した理論値です。その年に実際に販売できた人泊数・室泊数ではありません。年途中の開業、休館、販売を止めた客室、人員体制などは反映していません。実際の稼働率の分母には使えません。

「受け入れられる人数が増えた」ことと「泊まる人数が増えた」ことも別です。定員4人の客室を2人で使う日もあります。満室でも定員いっぱいとは限らず、施設様の予約を見るときは、部屋の埋まり方と一室の利用人数を分けて捉える必要があります。

客室の増え方は、県内で一様ではない

要点客室数の増加率は那覇市14.5%、宮古島市71.9%など、地域によって大きく異なります。

県全体では約2割増ですが、施設様が実際に比較される範囲はもっと狭くなります。那覇市は1万9,917室から2万2,804室へ、宮古島市は3,935室から6,764室へ増加。増えた客室はそれぞれ2,887室と2,829室で近いものの、もともとの客室数が違うため、増加率には差が出ます。

2019~2025年の7市町村の客室数増加率。那覇市14.5%、恩納村7.9%、宮古島市71.9%、石垣市22.1%、本部町38.3%、今帰仁村57.5%、北谷町24.4%那覇市14.5%、恩納村7.9%、宮古島市71.9%、石垣市22.1%、本部町38.3%、今帰仁村57.5%、北谷町24.4%。 2026-09-14T17:59:47.060237 image/svg+xml Matplotlib v3.11.2, https://matplotlib.org/
比較例として7市町村を掲載。2019年末と2025年末の客室数の増加率で、県内全市町村の順位ではありません。出典2。
市町村2019年末
(室)
2025年末
(室)
増加率
那覇市19,91722,804+14.5%
恩納村5,6766,122+7.9%
宮古島市3,9356,764+71.9%
石垣市5,4486,654+22.1%
本部町1,8622,575+38.3%
今帰仁村555874+57.5%
北谷町2,2172,758+24.4%

これは供給側の比較です。宮古島市の客室増加率が高いからといって、その数字だけで同市の集客が最も難しいとは判断できません。各地域への来訪、宿泊日数、旅行目的の変化も重なります。

施設様の販売を考えるうえでは、県全体の回復率に加えて、同じ地域・価格帯・旅行目的で比較される宿泊先を見る必要があります。県全体で需要が増えても、その増えたお客様が自館の客層と同じとは限りません。

宿泊実績は3.0%増。稼働率は2019年を下回る

要点延べ宿泊者数は2019年を3.0%上回りましたが、客室稼働率は64.7%から60.3%へ下がっています。

観光客数だけでなく、実際に泊まった量も確認します。観光庁の宿泊旅行統計調査では、沖縄県の延べ宿泊者数は2019年の3,286万5,670人泊から、2025年の3,386万2,060人泊へ3.0%増えています。どちらも年間の確定値です。[出典4][出典5]

沖縄県の2019~2025年の延べ宿泊者数と客室稼働率。2019年は3,286.6万人泊・64.7%、2025年は3,386.2万人泊・60.3%観光庁、全施設、年間確定値。2019年は32,865,670人泊・64.7%、2025年は33,862,060人泊・60.3%。 2026-09-14T17:59:47.206966 image/svg+xml Matplotlib v3.11.2, https://matplotlib.org/
延べ宿泊者数と客室稼働率は、観光庁「宿泊旅行統計調査」の沖縄県全体の年間確定値(推計値)。別々の指標として表示。出典4・5。
延べ宿泊者数
(人泊)
客室稼働率
201932,865,67064.7%
202013,790,15030.2%
202111,472,51025.2%
202218,232,94042.2%
202332,879,73053.9%
202431,275,60054.9%
202533,862,06060.3%

一方、客室稼働率は64.7%から60.3%へ4.4ポイント低下しています。泊まった量が2019年を超えても、客室の埋まり具合は当時に届いていません。この違いは、観光の回復がそのまま各施設の回復になるわけではないことを示しています。

ただ、2025年の稼働率は2024年の54.9%から改善しています。施設の種類でも違いがあり、ビジネスホテルの稼働率は2019年の74.8%から2025年の77.2%へ上がっています。足元の回復と、2019年との違いは両方あります。全施設が一様に苦戦しているという読み方でもありません。

観光庁の数値は回答施設からの推計値で、県内在住者の宿泊も含みます。県の宿泊施設実態調査とは集計対象や調査方法が異なるため、県の年末客室数を分母にして稼働率を再計算してはいません。また、稼働率の差のすべてを新規開業の影響と決めつけることもできません。

選択肢が増えた分、自館を選ぶ理由を伝える

要点需要の回復に加え、自館に合うお客様へ泊まる理由が伝わるかどうかが、予約を考える軸になります。

観光客数も延べ宿泊者数も増えています。ですから、沖縄の宿泊需要を「決まった大きさのパイを奪い合うだけ」とは捉えていません。ただ、客室も宿泊先の選択肢も増えた以上、需要の回復を待つだけでは自館が選ばれる理由になりにくくなっています。

複数の宿泊先を比べる旅行者が、客室の写真や設備の使い方から自分に合う宿を見つける流れ。選ばれる理由を見える形にする説明図

訴求力を高めるというと、目立つ言葉を足す話になりがちです。弊社は、どのお客様にとって、何が使いやすい施設なのかを具体的に見せることだと考えています。

たとえばキッチンがある施設なら、設備名だけでなく、調理器具や食事をする場所まで写真で分かる。家族で過ごす客室なら、寝具の配置や荷物を置く場所が想像できる。こうした説明は、同じ地域や料金帯の施設を比べるお客様の判断材料になります。自館に実際にある設備や使い方を、予約前に伝わる形へ整えるということです。

観光客数が戻ったかどうかに加えて、競合する宿泊先がどう変わり、自館の良さが誰に伝わっているかまで見る。2019年との比較は、その確認を始めるための材料になります。

あとがき

県全体の数字だけでは、施設様ごとの料金や見せ方は決まりません。弊社では、施設様の予約の動きと周辺の宿泊先を一緒に確認し、客室写真やプランの説明、予約サイトでの販売設定を整えるお手伝いをしています。観光の回復を、自館に合うお客様の予約へどうつなげるか。その設計からご一緒できます。

この記事のおさらい

沖縄の観光客数はコロナ前の水準まで戻っていますか?

2025年の入域観光客数は1,075万6,000人で、2019年を5.8%上回っています。暦年の比較で、沖縄県が2026年3月25日に公表した確定値です。

県内の客室数は2019年からどれくらい増えましたか?

2019年末の5万4,380室から2025年末の6万5,031室へ、1万651室、19.6%増えています。宿泊施設の総数は3,084軒から4,721軒です。住宅宿泊事業法に基づく民泊などは、この調査の対象外です。

収容人数に365を掛ければ、年間の販売可能な宿泊数になりますか?

年末の定員を一年分に換算した理論上の規模は分かります。ただし、年途中の開業や休館、人員体制などを反映しないため、実際の販売可能数や稼働率の分母には使えません。

宿泊需要が戻っても、稼働率は2019年と同じではないのですか?

観光庁の年間確定値では、2025年の延べ宿泊者数は2019年比3.0%増ですが、客室稼働率は64.7%から60.3%へ4.4ポイント下がっています。客室の供給や利用人数、地域・施設の構成も関わるため、観光客数の回復だけでは説明できません。

出典・参考

  1. 沖縄県「入域観光客概況」2019~2025年の暦年統計。各年の統計データから集計。2025年確定版は2026年3月25日公表。 2025年確定版PDF。 取得日:2026年9月14日。
  2. 沖縄県「宿泊施設実態調査」2019~2025年。2025年版は2026年7月3日公表。年次合計は2025年Excelの「(4)推移」を使用し、各年版と照合。市町村・種別は各年Excel。2019年の収容人数は県公表値149,216人を使用。 2025年統計Excel。 取得日:2026年9月14日。
  3. 沖縄県「2026年7月 入域観光客統計月報(速報)」。2026年8月25日公表。「年度・暦年」の1~7月累計。6月・7月は速報を含む。 取得日:2026年9月14日。
  4. 観光庁「宿泊旅行統計調査」2019年年間値(確定値)。沖縄県・全施設。客室稼働率はPDF4ページ、延べ宿泊者数は5ページ。取得時点で公式サイトが掲載する版を使用。 取得日:2026年9月14日。
  5. 観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年年間値(確定値)。2026年7月6日公表。沖縄県・全施設。客室稼働率はPDF4ページ、延べ宿泊者数は5ページ。2020~2024年も各年の年間確定値。 年次資料一覧。 取得日:2026年9月14日。

増減率・2019年=100の指数・一室あたり定員・365日換算は、記載資料の数値から計算。観光客数と宿泊者数、年末の定員と年間の実績を区別しています。主比較の2019~2025年は暦年、宿泊供給は各年末です。

関連記事:沖縄の観光客数と、宿の予約が同じ動きにならない理由

   

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